🇩🇪 多彩で多色、カオスで雑多なドイツの日常から時事のテーマも気ままに綴る身の丈自由帳 🇪🇺

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EU(ヨーロッパ連合)とは【私にとっては、ですけど】

by Jade

ドイツとは陸続きのフランスやイタリアですが、同じEUの中でもやはり国が違うと新型ウイルスのことに限らず、主義主張も違えば結果にいたる方針やプロセスが違うことも多くあります。それでも相違点があるのは当然、そこを調節しながら共存しているのがEUだと私は認識しています。

ウイルスが流行ったから国境を各国が閉じ、自由に往来ができなくても「それみたことか」という感じはあまりなく、逆に私は日本の新聞を読んで「そういう見方もあるのか」と改めて知りました。

自分の身の丈に換算してみると、たとえば自分が住む場所が突然治安が悪くなったとします。自分も困るけれども町内のご近所の人たちももちろん困っています。助けて差し上げたいけれども、それにはまずは自分の家と家族が安全で安泰であること。その上で余裕があってこそ町内の皆さんのお役に立つことができるのであって、自分の家と家族を危険にさらしながらお隣さんも助けるというのは、まずありえないのではないかと思います。
EUの国々がまずとったのはそれと同じ行動で、数ヶ月前はそんなの当然じゃないかと多くの人が思う国境閉鎖でした。

ただその時にイタリアではマスクが必要だったのに届かなかったとか、フランスはイタリアへのマスクの輸出を禁止したとか、今となっては色々な問題点も浮き彫りになっていますし、それが多くの方々の命にかかわることだったので、EUのウイルスに対する対策自体が問題視される結果となりました。
世界的な保健機関の見解もあまり当てにならないようなので、これも大変困った事態だと思います。

自分が偏った日本のニュースとそのコメントの数々を読んでいたせいか、EUの継ぎ目のボロが出てきて共同体として弱まる様子を、ある意味「他人の不幸は蜜の味」的に見る報道や意見が多く、とても驚きました。

幸か不幸か私はヨーロッパが少しずつユニオン、共同体になっていくその過程をドイツで過ごしました。東ドイツこそ残念ながら消滅してしまって永遠に行くことはできませんが(旧東ドイツにならもちろん行けますが、一つの国家だったときの東ドイツには私は行ったことがありません)、国境を越えるのにビザもパスポートのスタンプも徐々に不要になっていき、通貨を両替する必要もなくなったときの感動と自由さ。各国の国旗とEU旗が並ぶ国境線。

今でこそEUもだいぶ東に拡大しましたが、以前は旧共産・社会主義諸国に行くと東西の違いがまだまだ大きく、冷戦時代を思わせるシステムの違いがまだ少し圧迫感がありました。そしてオーストリアまで戻ってきて入国するときにEUの旗を見てほっと湧いてきた、なんともいえない自分でも驚いたほどの安心感。

これが私にとってのEUです。
(…スイスとドイツの国境についてはこちらに記載したことがあります。よろしければご覧ください…)

それでも、今まではどうであってもこれからは違うということも今の時代なら大いにありえることだとも思います。だからといって私には「ざまーみろ」的に思う気持ちは微塵もなく、弱体化や縮小化するようなことがあるとしても、それならそれで共同体としての運命のようなものだと思っています。

兄弟姉妹のように仲違いやお互いの至らないところを突き合うことはあっても、中世のような戦争はもうEUの中ではおこらはいことでしょう。そういった独立した個々の国々がまとまる共同体として、ヨーロッパ連合はなんとか生き延びていくのではないかなぁと、お花畑な一住民の私の楽観的な考察でした。

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