くて例年以上に長かったヨーロッパの冬も、バーゼルワールドが終わると共にやっと春になりました。復活祭直前になり、待ちわびたようにいっせいに花が咲き若々しい緑の芽が出てくる美しい季節です。
この時期の大きな2つのショー、ミュンヘンとバーゼルについて、別の場所に投稿しメールでご質問を数件いただきましたので、少しこちらでヨーロッパの状況などを記載したく思います。
ミュンヘンのジュエリーを中心するインホルゲンタと、時計中心のバーゼルのバーゼルワールドは展示会の性格上、少々様相と規模が異なりますが、どちらも大規模なジュエリー・ウォッチの展示会です。
インホルゲンタ:雨と雪が交互に降り続ける開催期間中、それでも誰もが予想していたより来場者が多く、業者・バイヤー数のみで79カ国から30,000人強の来場がありました。(一般の人や学生の来場者がカウントされた数は公表されていません。)
ただ建物によってだいぶ人出のばらつきがあり、二極化が顕著になっているように感じられます。主催者の公表では、特に貴石のジュエリーとデザイナーズジュエリーが来場者に好評だったそうです。実際に私にもこのれは実感できました。
デザイナーの集まるC2ですが、広い会場内で一番私の印象に残っているのは、イギリスからの出展者です。私のブースからいつも近いので、彼らの様子はつい観察しています。彼らは出展8回目。出展4回目までは驚くことにオーダーがまったくなかったそうですが、5回目以降注文が増えはじめ、今回はひっきりなしにオーダーの伝票を書いていました。普通は5年間も注文がなくても同じショーに出し続ける勇気はないでしょう…少なくとも私にはありません。すべての商品が、デザイナーの女性の手作りです。話を聞くと、彼女は20年近く同じスタイルのものを作り続けているとのこと。注文が増えだしたのが3年前…素晴らしい、本物のデザイナーです。
C2は年々、東欧圏からの出展が増えていますが、今後はもっと増えることでしょう。
バーゼルワールド:今年は例年よりジュエラーの出展が多かったしてそうですが、やはり時計に来場者が集中していたように見えます。そして時計でも二極化現象が見られ、ジュネーブの超大手集団が集まる建物の中はかなりの人出でしたが、小規模な生産者はよほど特徴・特色を出していかないと厳しいようでした。
今年は来場者数は去年より6000人少なく、10万人に届かなかったそうです(業者・ 一般・学生すべて込み)。展示会終了後のコメント「大盛況に終わり、ほとんどの出展者が大満足だった(4月4日付けの地元紙「Basler Zeitung」)」というのは、明らかに外向きの話と取る人が多く、専門誌には有名時計ブランドの大多数が「少なくても今後の消費低迷期の覚悟を決めている」「早急な対策が必要」と コメントを出しています。スイスの時計は2009年2月期には輸出が30%近く減りました。
ドイツやスイスには、ジュエリーや時計を作る素晴らしい工房がたくさんあります。時計を作る工房は、小さくても個人でトゥールビヨンなどを作り、デザイン性にも優れているかっこいいものが多く、時計ファンの垂涎的です。
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すでに色々な媒体で出ていることばかりかもしれませんが、私自身はかなり長時間、会場内で時間を過ごしました。
もしさらに質問等ございましたら、ご連絡ください。私でわかることでしたら、できるだけお返事いたします。