ドイツは州ごとに休みの日が違いますが、ハンブルグではつい最近夏休みになりました。お子様のいるご近所さんもあっという間に休暇に旅立たれ、世の中がまったりとゆっくり時間がすすむ季節です。
その代わりに賑やかになるのがソーシャルメディア・SNSの旅行の写真です。SNSでお友だちになってくださっている方々の「ここにいきました」「ここにいます」の写真を、私は見るのが大好きです。「他人の旅行の写真がウザい」という人もいるようですが、私はシンプルに好きです。
投稿される写真で感動や感銘を受けた場所を瞬時に共有されること、それに「きれいだなぁ」「こんなところにいってみたいなぁ」とか「うーん、それは私には写真で見るだけで充分だわ…」と勝手な感想を心の中でつぶやいてみたり、たまについうっかりそんな余計なことまで正直にコメントしてしまったり… どちらにしても旅行の写真を拝見することは、とても楽しいです。
私も旅行が大好きです。旅行中の「観光客」で「お客様」な状態も、私は嫌いではないのです。
最近友だちとそのようなことを話していてふと重要なことに気がつきました。自分が「観光客」でも「お客様」でもないはずなのに、私が世界で一番「アウェイ Away」な心地になるのは他でもない、日本だということです。
たぶんそれは大昔、ドイツから日本に戻り、東京にあるデザインの学校に行き始めたころからあったアウェイな感じの延長です。
街として、ハンブルグと東京。
そして、ハンブルグの学校と東京の学校。
…同じようでいて、やっぱりちょっと違います。
小さなお子様は、国籍や言語など関係なくすぐに友だちになれますが、さすがに成長するにつれて私の中にも「あれ」と思うことが多く発生するようになり、たぶんそれはクラスメイトにも私に対してあった感じだと思います。日本ですと私は服装もお化粧もその他諸々の感覚も、だいぶ違和感のある人だったと今でも思います。
さらに成長して現在。
たまーに日本に行くことはありますが、私はもちろん「観光客」ではありません。でも住んでいるわけでもありません。
日本語は母国語ですが、私は日本でテレビは見ません。何を言っているのかわからないことが多いのと、なぜ笑うのかその「ポイント」がわかりません。地元も大きく変わりました。数年前には地元の駅と周辺の様子が一変し、一方通行の道などが増えてしまい車で駅まで行けませんでした。
知っているはずの場所に行っても、知らないお店ばかりです。
日本のものもお店も食べ物も大好きですが、日本からドイツに戻って近所のスーパーで自分の日常のものや好きなものを買う時の安堵感といったら例えようがありません。
日本が変わったのか、自分が変わったのか、たぶんその両方かもしれません。
家族、兄弟、そして友だちがいるので日本に行く機会があればとても嬉しいのですが、実際の距離だけではなく、日本までの心の距離までも遠くなってしまったような、日本に行ったときの、あのほのかだけれどもなんとも表現しがたい強烈なアウェイな感じは否めません。本当に自分は遠くまで来てしまったな、という感じ。
ハンブルグで近所の小学校や幼稚園も、夏休みでチャイムがならずとても静かです。
日本の花火やセミの鳴き声、夏祭りなどを懐かしく思い出しながらそんな思いにふける夏の日です。