リューベックからハンブルグに引っ越して、また冬が来ようとしています。リューベックから60kmほど離れたハンブルグは昔通っていた学校がある場所ですし、学生のころは1日のうち、当然ですがハンブルグにいる時間のほうが長かったです。
20年くらい前からリューベックもハンブルグも私のドイツでの生活には切っても切れない場所ですが今、あらためてハンブルグに住んでみて、同じ港町でもやっぱりリューベックと違うなとふと思うことがあります。
街の規模はハンブルグのほうが大きいですが、地方都市リューベックの生活もとても便利で気に入っていました。リューベックは中世の北ヨーロッパの香りが こってり、石畳に石の建築物がとてもかっこいいです。築数百年の建物に普通に人が住んでいます。私が住んでいたのも築400年の建物でしたが、中の設備は現代のものに改造されているのでとても快適でした。必要なものはなんでも近所に揃っているし、小さなおしゃれなお店やカフェ、レストランもたくさんありました。どんなものを修理するにもマイスターと呼ばれる人たちのお店が街中にたくさんありました。それに旧市街地はどこでも徒歩で行けます。
ハンブルグでは傘の修理を一つ例にしても「はて、傘の修理をしてくれるお店はどこにあるんだろ」とか「新しい傘を買ったほうが早いんじゃないかな」と色々な考えが行ったり来たりします。
ハンブルグは移動には電車や地下鉄、バスは欠かせません。
リューベックはバルト海に面しているので、港では baltic とかバルト海という意味の Ostsee という標識や看板、土産物品を見かけますが、ハンブルグの港は大西洋、北海につづいているので、atlantic や nordsee の名前ばかり見かけます (当然ですね)。
洗濯洗剤を変えて香りが変わったとか、その程度のことですが、港ではふと「そうかこの水はバルト海の水じゃないんだ」と必ず一瞬、ふと思います。
今の季節になると、リューベックは暖炉の香りが色々な家から漂ってきていました。ハンブルグは近代的な建物が多いですから、その香りはありません。
でも現実的に考えれば、やはりハンブルグのほうが今の生活には合っています。大きな空港があり、中央駅からは欧州各都市へ電車が発着しています。市内に何カ所かある見本市やメッセの会場も、リューベックからだったら1時間半くらいはかかりますが、ハンブルグ市内に住んでいれば電車やバスですぐです。
色々な思いはありますが、ハンブルグに引っ越してきたよかったと思います。第一、私はハンブルグも学生時代の思い出がたくさん詰まった大好きな場所ですから。
きっとそのうちハンブルグの生活が当たり前になってしまうことでしょう。実際に今もほとんどそんな感覚になりつつあります。でも、ここ数年のリューベックでの生活が日常の忙しさに紛れて記憶から薄れてしまう前に、少し備忘録を記しておきたく思います。