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トーマスは石の研磨の職人デザイナーです。私は以前、一度彼に会ったことがありました。ある展示会に出展したとき、彼とは隣同士だったのです。
それが今回、私がひそかに「心の友人」と思っている方と共に、トーマスのアトリエに行くことになりました。
ドイツで「デザイナー」という場合、自分で作る人を指すことがほとんどです。彼も例外ではなく、自分で考えた石のデザインを、自分で研磨できる人です。丸みがあってもなぜか直線を感じさせ、シンプルでも誰が作った形かすぐにわかる彼のデザインを私はとても好ましいと思っていたので、ずっと温めていた私のデザインを数点、彼と共同制作してもらうことにしました。
これが『共同作品』として世に出ることがあるか??…私にはまだわかりません。
それでも一つ、私が実感したことは、デザインをする職人さんは、話がとても早いのです。デザイン画もなにもなく、多分日本ではあまり誰もやりたがらない形ですが、その形の意味、意図を彼はすぐに理解してくれたので、実は私は少々驚きました。
『共同作品』ができあがるのが、今からとても楽しみです。