先日オーストリア第二の都市、グラーツに訪れる機会をいただきました。かない長い期間の滞在だったので、仕事の合間に街の近くにある小高い山の森を散策する時間にも恵まれました。
オーストリアはドイツのバイエルン州に隣接しているのでドイツと自然の様子がそれほど大きく違うわけではありませんが、たまに見かける標識に描かれた国旗に「あああ違う国に来ているなぁ」と、ある種の異国情緒に浸ることができます。
北ドイツの、陽射しが強くても風がひんやりとしていて空気がすーっとミントをイメージされることが多い北方の森とは違い、私が散策した日のオーストリアの森はまさに「夏の森」でした。北方から比べるとやはり緑がとても、とても濃く、夏らしくて気温も湿度も高かったです。
「なんちゃって自然児」の私は本当に本物の自然の中に放り込まれたら、間違いなく数日と生き延びられないと思いますが、地元の家族連れや高齢の方々などがゆったりと散策されているようなゆるーい森ならば、余裕を持って心から自然を楽しめ、安心して道に迷うこともできます。
…本当は山頂の教会を観光がてら目指して歩き始めたのですが、迷子になり挫折してただの森の散策となりました。
夏の明るい太陽と、青い空。緑濃い森にたくさんの花。ひとかけらの心配事もない、幸せな時間です。私はとても嬉しくなると、なんとなくいつもポケットに 入っている水晶を手に持ってみるのですが、そうすると「自分のご機嫌度」が拡張器のように倍々増される気が私にはして、さらにさらに幸せな気持ちになりま す。
（財布や携帯はたまに忘れても、好きな石は忘れずにポケットに入れます。）
そうすると、ぶんぶん飛び回る虫にも「虫たちにとってこの森は宇宙も同じかもね。しっかり宇宙の森で生きろ虫くん達」と、気持ちまでおおらかになれるようで不思議です。こんなおおらかな気持ちを、たいていいつも混雑しているハンブルグの中央駅でもぜひ持ち続けたいのですが、人混みの人間相手にはそうはいかない自分が 残念です。が、まぁそれでもいいかと自分自身にはおおらかになっておくことにします。
夏の森の空気を思う存分取り入れ、上をみれば木々の間から真っ青な空が見え、そしてポケットには大好きな水晶が入っていて…暑い夏の日の、私にとってはそれで贅沢すぎるほど最高に贅沢で完璧な「異国の森」での時間でした。
…森の中を歩き回るだけで嬉しく、目的地の教会は結局到着できませんでしたが、まぁそれでもよいということにします、次回の楽しみということで…。
