今週になってから、急に夏らしく暑くなりました。6月末にフランスから戻ってきてから13-18℃くらいの少し寒いくらいの日が続いていたので、突然の暑さにリューベック市内は街中よりも海岸のほうが大賑わいです。7月も下旬のこの季節、夏休みも中たるみか暑さのせいか、暑い石畳を歩く人たち も観光の人が多いからかゆっくりとしていますし、市街地はどこを見回してもほわわーんとしています。
いつからか正確にはわからないのですが、私がリューベックに帰ってきた時6月の終わりには、もう公立の学校が夏休みになっていました。ご近所さんもお留守 のお宅が多く、お子さんがいらっしゃったら当然夏休みのお出かけの時期、学生さん達は実家に帰ったりしているのでしょう。ヨーロッパ中が民族大移動です。
いえ、もしかしたら夏休みになった日本なども含めて、世界中で人々が移動する季節かもしれません。
日本の、よく言えばみずみずしい夏 → 普通に言えば蒸し暑い夏も、趣があって私は嫌いではありません。蝉の声とか。ドイツもバルト海まで来ると、さすがに内陸のドイツと気候が違います(気候の境界線はハンブルグのエルベ川だそうです)。昔*は何も深く考えず、なんとなーくあたり前に過ごしていた北ドイツの夏。乾いた太陽に熱した石の道の香りとか、港の香りとか、ああ知ってるこの香りと思います。懐かしいような、またここに来ちまったというか。
(*昔=10数年前です。もっと正直に表現すると20年近く前です。うわあ)
ドイツの他の地域と違い、バルト海沿岸は夏が短いです。この暑さもいつまで続くか…そんな緯度の高いドイツの夏も、私は好きです。
以下、フランス・アルザスでの展示会の間抜けな様子です。
ご興味があれば読んでやって下さい。
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6月のフランス・アルザス地方でのミネラルの展示会は、結局はコルマールではなくサン・マリー・オーミーヌでした。いやはや、展示会自体の主催者のサイト にあるまま、鵜呑みにしてもちろんコルマールに行きました。が、到着したらなんのことはありません、「やっぱミネラルの展示会はサン・マリーで開催でー す」と案内の人もホテルの人も、ミネラルの展示会の話をすれば皆さん「あーあ、あなたもやっちゃいましたね」と言われるような状態でした。開催する団体も なかなか愉快なことをしてくれます(しかも今でもサイトは「コルマールで開催」のままです)。
これが日本やドイツででしたら、普段は穏やかな私でも「おいおい、どうなってんですかね」と抗議の問い合わせの電話の一つでも主催者にするところです -それ以前に、日本やドイツでは展示会でそんなことはあり得ませんし!- しかもヨーロッパで有数の規模と伝統を誇るとか言ってるミネラルの展示会ですよね?と詰め寄りたくもなるのです。
でも、そこはやはりフランスです。良くも悪くも、フランスです。詰め寄るどころか、はいはい、ここはフランスだもんね、あなた方フランス人だもんね、なんでもあり得るよね、と妙に諦めのような、笑えるような、怒れないようなような、感情が沸いてくるのが不思議です。 結局私はパリに住んでいたときに、フランスがとても好きになったのだと思います。そうそう。ここはフランス、そして相手はフランスの人。
期間中、朝はコルマールからさらに田舎へ 35kmほど離れたサン・マリーに通うはめになりました。
結局、電車とバスを乗り継いで会場の村へ行くのですが、しつこいですが、そこはアルザスのコルマール、フランスの美しい片田舎です。公共の乗り物は1時間に1本とかです。そのおかげで、バス停では顔見知りのデザイナーに会いました。偶然と言えばものすごい偶然なのですが、やはり主催者さんのサイトにあるままコルマールに宿を予約したそうで。私と同じです。
周りを見渡せば、展示会に行く方がたくさんいらっしゃいます。きっと出展者であろうと思われるインド系の方、南米系の方、中国系の方などなど。日本の方も ドイツの展示会よりも多くお見受けしました。やはりドイツよりフランスの展示会のほうが、日本の人にはなじみ深いのかもしれません。こんなアルザスの田舎 のバスが混雑するのも、きっとこの展示会の期間中だけだと容易に想像つくような、サン・マリーの村、ああここの住民の人たちにとっては年に一度の書き入れ時、お祭りのように誰もが楽しみにしているサン・マリー・オー・ミーヌの年間行事なのだな、このショーをこの地域の人たちから奪ってしまうのは、それは残酷かもしれないと思ったり。
私のような間抜けな人も続出の今年の展示会だったようですが、グランプリな間抜けは、同じく北ドイツのハンブルグから来ていた知人で間違いありません。
彼はモロッコ出身の鉱物屋さんです。この展示会のために、年期の入ったの愛車でモロッコに行き、ご実家を拠点に3ヶ月間、アフリカ大陸を自分の車に寝泊まりし ながら石を集めていました。私もすぐに見せてもらいましたが、彼が自画自賛するだけあり、とてもおもしろい石が揃っていました(特に水晶とバライト)。
そんな彼がモロッコから直でフランスに着き、さぁ集めたての石を展示!と思いきや、共同出展するはずの友達が会場に来ていない!と言う事態に陥っていました。出展する場所がなかったのです。
しかしそんなことで諦めへこむような人ではありません。サン・マリーは村中が青空会場ですが、駐車場で自分の車をブース代わりに展示販売を始めたのです。 その強さを、私も見習わなくてはいけないなぁとしみじみ考えた矢先、開始の数時間後には彼は地元警察の取り締まりの対象となってしまいました。いやはや、 です。それでもしばらくすると、また駐車場で展示販売を始める強さは、私には一種の尊敬に値すると思いました。
(警察のお世話になることは決して良いことではありません)
本来ならあまり笑えるような状態ではないはずですが、6月の夏の陽気と彼の陽気さ、会場ののほほーんとした独特の雰囲気、などなどのせいか、私達は多いに笑ってしまいました。なんとも憎めない、石仲間です。
(いつかに続く…)