今日外に出て、家々の間にぽっとある空き地をふと見ると、クローバーがたくさんありシロツメクサが咲いていました。と、突然思い出したことがあります。
…幼稚園の頃、園庭のはじっこはあまりいじられていない原っぱの状態でした。ふらふらと園庭を歩いていると、いつも一緒に遊んでいる子達がなにやらみんなでしゃがみ込んでいます。近づいていくとシロツメクサを摘んでいて「白い花はバニラ味、ピンクっぽいのはいちご味、茶色はチョコ味」と教えてくれるではないですか。何のことだかもわからずに「そうか、それなら私はチョコ味だ」と、茶色の、今にして思えばほとんど枯れている花を無我夢中で集めました。
そのうちに、誰かがシロツメクサで作る冠なるものが作れるらしく、みんなで必死に教えてもらいながら作ったものです。そして完成した私の冠を見て、誰かが「なんかその冠、きたなーい。」
うっと一瞬たじろぎながらも、茶色はチョコ味なんだと教えてあげると「花がチョコの味するわけないじゃーん」とそのガキ 子供。心の中では確かに花がチョコレートの味がするわけないと、薄々思いながらも「わかんないやつだな。これはチョコ味なんだってば」などと考えながら、確かめるように「チョコ味の冠」と言って先生に差し上げに行ったのです。
今思い返すと、なんと人間のできたプロの先生だったことか、先生はその日、冠をかぶっていてくれたのです。さらに帰り際に「先生はもうもらったから、おうちに帰って今度はお母さんにあげるように」と返してくれたのです。…
それを家に帰って母にあげた記憶はないのですが、もしかしたら幼稚園のバスの中にでも忘れてきてしまったかもしれません。
今の私はその時の先生よりきっと年が上だと思います。なんとも良い先生に恵まれた幼稚園時代でした。
今でもシロツメクサが茶色くなってくるのを見ると、なんとなく自分の花のように思え「チョコ味が増えてきたな」と心の中で独り言を言っています。