🇩🇪 多彩で多色、カオスで雑多なドイツの日常から時事のテーマも気ままに綴る身の丈自由帳 🇪🇺

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カンツォーネの留学生

by Jade

もうすぐ展示会がはじまります。
シーズン前や展示会の前になって、常に考え続けているデザインをさらに煮詰めなくてはならなくなると、私は数年間に訪れた香港のジュエリーの展示会を思い出します。

香港の展示会会場は巨大でした。出展者が多く、来場者も多く、どこも人、人、人、その合間には商品があふれて見えました。ジュエリーに関してして言えば香港・中国には、世界の市場にないものなどないのではないかと、テレビや新聞で言われて久しい中国の力を、やっとそこで本当に理解した心持でした。商品をさばくパワーこそあれ、景気を気にする悲壮感など全くなく、自分が考えたデザインさえ、すでに中国にはあるのではないかと考えさせられ「中国にはなんでもあるんだ…」と繰り返しながら会場を歩いたものです。

さらにもっともっと以前、日本からイタリアへカンツォーネを学びに行く留学生がとても多いと、聞いたことがあります。しかしゴンドラの船頭さんの歌うカンツォーネを聞き、そのレベルの高さに驚き、挫折する日本の学生もとても多いということでした。

このイタリアのお話の真意のほどはわかりませんが、私は香港での展示会を見て以来、このカンツォーネを習いに行った留学生の気持ちでいたように思います。
でもいいんです。世の中には私にしかできないこともあるのではないかと、最近やっと思えるようになったからです。腕の良い職人さんには逆にできない、考えつかないことも、デザインも制作過程も試行錯誤しているからこそ、できることもあると思えるのです。

それでも、未だにデザインや制作に行き詰ると「カンツォーネの留学生の気分だよ…」などと失礼千万にも自虐的に言ったりしていますが、廻りめぐってたどり着いた自分のスタイルが、これからどんな風に展開していくか…発展途上にある自分を、ちょっと離れて眺める余裕がでてきたのかもしれません。

そんな気持ちの過程の上にあるのが、今度の展示会です。

追記:本当にイタリアで、ゴンドラの船頭さんの歌の上手さに驚き挫折してしまう学生さんがいるとしたら、それでもそれを真摯に受け止め、練習に励んでもらいたいものです。凹んで落ち込んでいる場合ではありません。どの分野でも、世界にはすごい人たちがたくさんいるのですから。

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