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子供の頃、ことわざをおぼえるためのような本がありました。もしかしたらうちにあった絵本かもしれないし、学校のドリルだったのかもしれませんがそのへんは記憶が定かではありません。ただ「むかしとったきねづか」が本の中に書かれていたことはとてもよくおぼえています。
その文の横には、なぜか米かみにばんそうこう貼った年配の男性、いわゆる「おじいちゃん」が水泳をしている挿絵がありました。
最近、私は子供のころからの自分自身の特技に救われることが多くあります。
そのたびに「むかしとったきねづか」の言葉が、クロール風に泳いでいるおじいちゃんの挿絵と共に頭をよぎり、不思議と自分と挿絵のおじいちゃんを重ねてみたりしていました。
このことわざと挿絵があまりにも強烈にリンクしていたので、「むかしとったきねづか」とおじいちゃんの挿絵以外、残念ながら他のどんなことわざがその本にあったかは、まったくおぼえていません。他の挿絵の記憶などは問題外、表紙さえ記憶から飛んでいます。
しかしその挿絵の洗脳も何十年も経ってようやく解けてきたようで、冷静によく考えてみると「むかしとったきねづか」は、年配の男性ばかりを指すものではないのだと最近気がつきました。
教訓:「昔取った杵柄」は、年配の男性が若い頃習得した水泳の技術を後年に生かすという意味ではない。
マクラメ macrameの記憶 -昔取ったキネヅカ-
展示会に向けて頭の中が制作のことでいっぱいの毎日ですが、実は私は「マクラメ」のアクセサリーが作れます。「布と糸をさわっていれば幸せ」と言っていた母の影響か、子供の頃は「手芸」の類いを一通り熱中しました。