お菓子類(スイーツ?)が好きだと、ベルギー発祥のワッフルに2種類のワッフル、四角いブリュッセル・タイプと丸っぽいリエージュ・タイプがあることは、広く知られたことかと思います。
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ワッフルのブリュッセル・タイプとリエージュ・タイプ
材料はほぼ同じでも、四角いブリュッセル・タイプは薄くてしっとりふわふわ、丸っぽいリエージュ・タイプは厚くさっくりめです。どちらもおいしいですけど結構こだわりがある人も多いようで、カフェでもスーパーでも、必ず両方そろって売られています。
私はここ数年はゆるくロカボ食なのでお菓子類はほとんど食べませんが、昔から自分で買うときは四角いブリュッセル・タイプ一択です。薄めふわふわですし上に何をトッピングしても、土台としても主張しすぎず、生クリームでもフルーツでもチョコでもアイスでも、なにはともあれブリュッセル・タイプが自分の好みです。丸っぽくて厚めのリエージュ・タイプが好きな人も、きっと何か「やっぱりこれだよね」というツボがあるのでしょう。
と、言うほどには「食」に対してこだわりはまったくないので、それなりに自分の勝手な好みと一般的な認識しか持ち合わせていませんでした。それが先日、ベルギーで第3のワッフルに遭遇し、何重にも衝撃を受けました。
ダイヤモンドの街・アントワープのマーケット
それはベルギーのアントワープにて。ダイヤモンドの街・アントワープ。大陸ヨーロッパの宝飾業界の人たちの多くはベルギーのアントワープ、またはドイツのイーダー・オーバーシュタインかフォルツハイムに少なからず携わっています。そのアントワープ。私はダイヤモンド街からそれほど遠くなく、そして週末にマーケットがある広場の近くに滞在しました。この週末のマーケットがとても楽しみで、これは「アントワープと言えば」的に超有名な「エキゾチック・マーケット」です。
心の中ではこのマーケットをメインに思ってもよいくらいな勢いで私はアントワープに滞在しました。いったい何のためにアントワープまで行ったのでしょうか、もはやよくわかりません。
そして楽しみにしていた土曜日。アントワープの知人は「行くなら土曜日」と教えてくれたので朝食を探す目的も兼ねてマーケット内をうろうろしました。うわー本当に楽しい!
北ドイツでこの規模の大きさのマーケットは、私が知る限りクリスマスマーケットくらいではないでしょうか、そんな規模のマーケットが毎週開催されているのはとても羨ましいです。そしてこの人の多さ。賑わいと活気、明るさ。このマーケットの近くにホテルを取った自分の野生の勘 ← この時点でマーケットが目的。
うわさ通りの楽しさ
広場の中には地元の新鮮なハムやチーズやお魚や、中東からアフリカ大陸の食材まで、どのお店もおいしそうなものが並んでいました。私が世界で1番好きなマーケットはパリの5区にあるものだったのですが、これに匹敵するか、このアントワープのエキゾチック・マーケットも勝るとも劣りません。面積はこのアントワープのマーケットのほうが大きいかな。
見るものすべてがおいしそうでツボを心得ていて、あれもおいしそう、これも好きだわ、でもこれは朝食というよりお昼か夜に食べたいかも、こっちのは持ち帰りたいけどうちに帰るまではもたないかな、と考えながら一周り、二周りゆっくりとマーケットを見て回りました。いやはや広くて楽しい。でも普通のカフェがない。
朝からシャンパンやワイン、ビールを飲んでいる人たちは多く、それらを提供しているお店は多いのに。普通にコーヒーとパンの朝ごはんでいいんだけど、と私は思ってまた探しましたが、やっぱりない。
しかたない、マーケットの周りの普通の路面店のカフェで朝食かなと思い始めた頃、見つけました。その小さなかわいらしいカフェは大きなお花屋さんのテントの影に隠れていました。隠れているせいか、人が誰もいなくてテーブルもガラガラです。
たくさんの食べ物…珍しいものや新鮮なもの、おいしそうな焼き菓子もたくさんある中、とても普通だけどここでカプチーノとクロワッサンで朝食、とてもおいしくて幸せでした。コーヒー類にはお菓子もおまけで付いてきて、うちのおばあちゃんが昔「ゴーフル」と言っていたようなものに似たお菓子です。薄い網目の焼き菓子2枚の間にキャラメル味のはちみつのようなものがサンドイッチ状に挟んであるお菓子で、焼き菓子はキャラメルはちみつでしっとりしていました。あら、おいしいわこのおまけのお菓子、とそれ以上何も考えずにいただきました。
と、これがその第三のワッフルだったのです。
もしかしたら有名な第三のワッフル。名前はもちろん「ゴーフル」ではない。
朝食を食べ終わったあとも、マーケットが楽しくてついうろうろしていましたが、なんとなく気がついたのがさっきの「ゴーフル」を食べながら歩く人達です。
私みたいにコーヒーのおまけを歩きながら食べてるのかなと最初は思っていましたが、ホテルに戻る際にさっき朝食を食べたお店の前を通りかかると、すごい並んでる。しかも、 え、お店の裏のテーブルまで埋まってて空いてる場所がない…?え何、あの「ゴーフル」、ただのコーヒーのおまけじゃないの?? なに?わざわざ並んでまで買うものだったの??? と幾重にも驚きました。ひーーーもっと味わって食べればよかった。
なんだあのお菓子はと思って調べてみたら、ウィキペディアにも乗っているくらい一般的なものなようで「ストロープワッフル」というようです。ふむふむオランダのお菓子だったのね… たしかにオランダ語でお店の名前かなんか書いてあったわ。なるほど…。しかもこのカフェ、オランダで有名なカフェだったのね、いやー知らなかったわ…。でももう行列に並ぶ気もないけれど。
ベルギー・ワッフルのカルチャーはドイツにもありますが、オランダのは見たことがないかも。そればかりでなく、オランダのストロープワッフルの知識は私には完全に欠如していました。おばあちゃんが好きだった「ゴーフル」くらいなら知ってるよ?程度の知識です。
アントワープの良質なマーケット文化
エキゾチック・マーケットは日曜日にも開催されていますが、食料品が多いのは土曜日で、日曜日は雑貨類が増えていました。私がホテルから観察していましたところ、土曜日の夕方には一旦すっかり広場が空っぽの状態に撤退されて、土曜日の夜にきれいに掃除されていました。これは私の妄想・想像ですが、アントワープのようなヨーロッパのこのっくらいの北緯近辺ですとネズミが発生することが懸念されることが多いので、たぶんネズミ対策かと思います。日本でいえばゴキブ対策のようなものでしょうか。それにきれいになっていれば、食べ残しのチーズやお魚など、夏でも近隣に匂いが残ることもありません。
全店舗が一旦撤退しますし、土曜日と日曜日でマーケットのコンセプトが違うので、両日とも出店しているお店でも場所が変わっていたりします。
もしかしたら、土曜日と日曜日はもしかしたら主催者が違うのかな?と思いました。土曜日と日曜日で商品だけでなくぜんぜん雰囲気も違うし。並んでいる品物が土曜で日曜と違い、楽しいのはもちろん、清潔に保つシステムや曜日ごとに変わるコンセプトなど、多面体的に興味深いマーケットでした。アントワープは他にも楽しそうなマーケットがくさんあるようなので、マーケット文化が成熟しているのだと思います。
そしてその後オランダに行った際、私はこの「ストロープワッフル」をスーパーで見かけました。オランダにはどこにでも普通にあるようでした。正直に言うと、ストロープワッフルはとてもおいしいけれど、これを食べなくては人生の一部分を堪能しきっていないとか、あそこに行ったらあれを食べなくては、とか、そんなことは全くないと思います(←お酒や食べ物に執着する人たちがよく言う例えを使って表現すると、という意味です)。普通のおいしいお菓子です。
残暑のアントワープでの楽しいエキゾチック・マーケット、こんどは空っぽのスーツケースも持ってぜひ行きたい場所の1つとなりました。
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